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男と女とポリアモリー

老舗エロス書店「芳賀書店」社長−芳賀英紀氏interview_Vol.1

神保町の書店街に古くからそびえ立つエロの殿堂「芳賀書店」の社長にして
”ポリアモリスト”の芳賀英紀さん。
浮気や不倫が横行し、一夫一婦制の限界も叫ばれる現代日本において
様々な倫理観が揺らぐなか、確固たる意思を持って「愛」を実践している芳賀さんの
“ポリアモリーな考え方”を取材させていただきました。

みなさんは、ポリアモリー、という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

単純に言葉を切り取って表現するならば、それは複数性愛とも言い換えられます。

 

妻・夫がいるけれど、それ以外に性愛も含め人生をシェアするパートナーがいる……。

そしてそのことを全員が認識し、理解し、受け入れていること。

もちろん、男女の異性愛であろうと男同士、女同士であろうと同様です。

 

そこには浮気という文字も不倫という文字もない。

正々堂々、愛なのです。

 

例えばある朝、「今日は仕事帰りにパートナーの○○ちゃんと映画行ってご飯食べてくるね」なんていって夫が出勤する。

それを「はーい、わかった。気をつけて行ってきてね」と笑顔で送り出す妻。

 

 

一夫一婦制という制度や現代日本の倫理観に慣れた目でみたら、相当に奇妙奇天烈な状況であることは一目瞭然です。

近現代以降、日本のスタンダードとなった、この1対1の関係性を、モノガミーというんだそう。

とはいえ、ほんの少し前までは「妾宅に愛人が…」なんていう政治家や俳優がゴマンといたのですから、倫理観とはいえ、ほんとうについ最近スタンダードになった(とされた)ものといえましょう。

 

さて、このモノガミーに対するのがノンモノガミー

今話題のポリアモリーもこれに含まれます。

ポリアモリーとは、ギリシャ語で複数を意味するPolyとラテン語のamorに由来する造語でカリフォルニアが発祥ともいわれています。

 

モノガミーは1対1の関係。

ポリアモリー(ノンモノガミー)である、ってことは3が最少数になります。

1が2になり、3になり、4になり8になり…、

無限大に広がっていくような可能性があるもの・状態といえるでしょう。

 

愛人囲うだけじゃ足りなくて、愛人の夫、その夫の愛人、その愛人の夫、妻の愛人、その愛人の妻、その妻のパートナー…∞∞∞…。

 

おわりいただけたでしょうか。

そう、友達の友達はみんな友達、愛人の愛人はみんな愛人です。

 

世界はひとつ。It’s a small world!

 

狂気の沙汰としか思えない…。

 

そう思う方がほとんどかと思います。

 

私も最初にこの価値観を知った時には、自分だったら絶対に受け入れられない、と思っていました。正直、今でも異性愛に関するポリアモリーを個人的に実践したいとは思ってはいません。

なんせ、私自身は修行が足りないせいか、恋愛に関しては“独占欲の塊”。

誰かと好きな人をシェアするくらいなら死んだほうがマシ! と思っちゃうタイプだからです(笑)

 

ただ、実践している人は、そのパートナーさんとその周囲含め幸せであるなら全く問題ないし、事実、相互の「合意」と「誠実さ」を軸として関係を結んでいるポリアモリストの方々の恋愛は、幸せそうだしいいね、と思っています。

実践者の方からすれば、ただの浮気や不倫とは全く次元の異なるものなのだそうです。

 

前置きが長くなりましたが、このポリアモリーで最近かなり話題になっている方がいるのをご存知でしょうか。

 

神保町の書店街に古くからそびえ立つエロの殿堂「芳賀書店」の若旦那(いや、社長です)にして、ポリアモリストの芳賀英紀さんです。

 

もともと、“先代から譲り受けた老舗書店を一代で立て直した新時代の若社長“としてメディアでも注目されていた芳賀さん。

私が芳賀さんにお会いしたのも、シニア男性向けのメディアで、芳賀さんを“エロコンシェルジュ”として取り上げさせていただいた記事の取材が最初でした。

 

そのとき、「僕、ポリアモリーを実践しているんです」とおっしゃっていて、初めてポリアモリーというものがある、と知ったことが、この価値観に興味を持つきっかけとなりました。

 

芳賀さんには、可愛い奥様と小さい赤ちゃんがいらっしゃるのですが、素敵な愛人(パートナーさん)もいらっしゃいます

SNSでも、読んでいるほうがひっくり返りそうになる程に奥様とはラブラブ。

 

でもパートナーさんとの関係も絶好調で、奥様とパートナーさんは双方に紹介済み

いまや芳賀さん抜きでも女子ふたりでお茶しちゃうくらいの関係なんだそう。

 

この、愛人であるパートナーさんも実は既婚者なのですが、もちろんそのお相手である旦那さまもこの関係を受け入れている、とのこと。

 

これって結構衝撃的なことだと思うのですが、どうでしょうか。

 

今まで私が知らなかっただけで、ポリアモリーを実践されているポリアモリストの方って意外といらっしゃると聞きます。

双方合意のうえでそうした関係を築きあげ、登場人物全員が幸せに満ちているとするなら、とんでもなく完璧な補完関係が成り立っている、ともいえそうです。

 

さて、お仕事としてのエロのみならず、プライベートでもそんな革新的なエロスを実践されていた芳賀さん。

 

その後も、様々なメディアに取り上げられたり、週刊誌に奥様と愛人とスリーショットで登場して複数性愛に関する取材を受けたり大活躍されています。この、週刊誌でのスリーショット取材の様子は、それはもうセンセーショナルな記事になっておりました。

 

最近もそのお三方でTV番組にご出演されていたのですが、数々のポリアモリー実践のエピソードに、MCの方はじめ出演タレントさんから一斉にドンびかれている芳賀さんのお姿が印象的でした(笑)。
(でも、ちゃんとお茶の間でエールを送っていましたよ♪)

 

当然ながらこのオンエア、かなり話題になったようです。

 

そりゃあそうですよね。

不倫愛、浮気に悩む(どころか著名人だと人生断たれるほどのバッシングを受ける)男女が山ほどいる中、こんなに颯爽と複数性愛を語られたら、ヘコむ状況の方はたくさんいるでしょうし、逆に勇気をもらった、なんていう方もいるかもしれません。

 

ところが。

 

こんな風にメディアでも取り上げられるようになったポリアモリーですが、芳賀さん曰く、
「これって性愛に関することだけじゃないんですよね。たまたま僕の仕事がエロを扱う仕事であり、プライベートでポリアモリーを実践しているテーマが複数性愛、っていうだけで。ポリアモリーってそんな端的なことではないんです」
とのこと。

 

え、そうなの?

 

「そう、決してこれは、性愛に関することだけに使う表現ではないんです。

そのへんを僕がメディアで扱われることで勘違いされる方がいたらよくないな、と思っていて」

 

私、完全に“男女間の性愛に関する価値観”と思って聞いていました。

が、エロのプロにして新時代のビジネス仕掛け人である芳賀さんが「それだけではない」というのです。

聞けば聞くほど“今っぽい”、新時代の新たな価値観でもあるような気がするお話を詳しく伺ってきました。

次回より早速ご紹介させていただきますね。

 

 

−Vol.2に続く−

−Vol.3を読む−

 


芳賀英紀 Profile

1980年、東京都出身。

神保町の老舗書店「芳賀書店」の3代目。21歳のときに社長に就任、現在も経営に関わる他、
エロコンシェルジュ、SEXアドバイザーなど、エロスに関わるコンサルティングや事業に
幅広く携わっている。

★芳賀さんの発信する内容に、ぜひ、注目してみてください。
そして、悩みがあれば、ぜひ相談してみてくださいね。
(ご相談に関しては、twitterにて詳細をご確認ください)

Twitter
@hagashoten

Gmail
hidenori.hagacop@gmail.com


 

打矢 麻理子

SEIReN編集長

打矢麻理子

様々なジャンルの女性ファッション誌や、ビジュアルブック、書籍制作などの経験を活かし、編集者として活動中。2017年に出版社の編集事業局取締役社長を経て独立。クリエイターチーム「Lilith Edit」、メディアプロジェクト「SEIReN」を主宰。

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