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楽屋見舞い、どうするのが正解?

古典芸能のミカタ(第六回)ー番外編・演者さんに聞きました!「楽屋見舞いでもらって困るもの」ワースト3ー

大和撫子たるもの、日本文化・芸能を知らずしてどういたしましょう。
と、いうことで、カルチャー連載の名にふさわしい^ ^連載がスタート♪
案内役は、出版界きってのカルチャー男子でもある中井仲蔵パイセン。
歌舞伎・浄瑠璃・能・狂言・現代劇の舞台はもちろん、最新の公開映画から宝塚歌劇
まで、あらゆる舞台演劇エンターテイメントに精通している仲蔵さんだからこそ、
難解なイメージの古典芸能もライトな切り口でわかりやすくナビゲートしてくれるはず。
第六回目のテーマは、少し恋愛を離れ、番外編!
ご贔屓さんへの楽屋見舞いについて語っていただきました。
ぜひ、ご参考になさってみてください。


↑上方落語唯一の寄席、天満天神繁昌亭!

 

お芝居やコンサートなど、ライブの舞台をいろいろ観て歩いていると、自然と出演者の人と知り合うことがあります。
その際、必ず出てくるのが、「楽屋見舞いのお土産に何を持っていくか」という問題です。

ご挨拶やお礼に何かを持っていかなきゃならない。
できれば相手が喜ぶものをお渡ししたいけど、
いったい、何がいいんだろう……。
と、頭を悩ませた人は少なくないはず。

 

本来は、予告どおりここでは「江戸時代の恋愛事情pt.3」を書くつもりでしたが、先日、古典芸能の演者さん2人と食事する機会があり、「楽屋見舞いのお土産で、もらって嬉しくないものワースト3」を聞いたので、予定を変更してそちらをお届けしようと思います。

 


↑笑いの殿堂! なんばグランド花月

なお、ご一緒した演者さんは、仮にAさんBさんとしておきましょう。
お2人とも上方をベースに活動している中堅〜若手の方ですが、「ご贔屓に読まれたら困るので、絶対に匿名にして!」とのことでしたので、ある程度、事実をボカしたり変えたりしています。ご了承ください。

 

それでは、ワースト3の第3位から。

 

第3位:ナマもの

これは納得する人も多いのではないでしょうか。

「くださるのはホンマにありがたいんですが、楽屋によっては冷蔵庫がないところもあるし、その日のうちに食べ切られへんかったら処分するしかないですからね。せっかくくれはったもんを捨てるんは、やっぱり心苦しいですわ」(Aさん)

まさかお刺身の盛り合わせを差し入れする人はいないでしょうが、お菓子を買って行く際は、どのくらい日持ちするのか確認していきたいものです。

 

第2位:量が多いもの

「出演者が多い舞台とかなら構へんのですけど……
小規模の会やったら、出てるんは自分を含めて3人しかいてないときもあります。そんな会に、ショートケーキ10個とか持って来られても……。
いえ、お気持ちはホンマに嬉しいんですよ。嬉しいんやけど、『3人でどうやって食おか』と悩んでしまいます」
(Aさん)

「古典芸能の演者はオジサンやオジイサンばっかりなので、ホールケーキ1個をドーンと届けられても、困っちゃうますね」(Bさん)

特に旅巡業などでは、持ち帰るのが大変。
ふだんから根城にしているようなホームでの公演ならともかく、遠路はるばるその地までやって来た演者さんに、缶ビール2ダースを差し入れするのは控えましょう

「うちの師匠は、スイカをまるまる1つ持って来はったご贔屓さんに、『悪いが持って帰ってくれ』と断ったことがあります」(Aさん)

 


↑大阪市中央区にある国立文楽劇場

第1位:間が悪いもの

楽屋を訪れるタイミングは、(1)上演前、(2)休憩中、(3)終演後、の3回がありますが、このうちいつにするかで、手土産の内容も変えていいかもしれません。
このうち、いちばん困るケースが見られるのが(3)のようです。

「終演後、あとは帰るだけなのに、大量に生菓子をいただいても、困るだけですわ」(Aさん)

場合によっては、終演後にすぐ撤収しなければいけないこともあるそうです。
特に地方巡業の最中だと、早く荷物をまとめて次の劇場に持っていかなきゃならない。
そういうときは、自分の出番が終わったら、すぐ帰り支度をするわけですが、

「ぼくはワインが好きなんですが、楽日(公演の最終日)の終演後、荷造りもだいたい終わった後にお越しになった方に、高級なワインをいただいたことがあります。
すごく美味しいワインで嬉しかったのですが、『どうやって持って帰ろうか……』と悩んじゃいました」
(Bさん)

 

番外:過剰なもの

「以前、SNSで某ディズニーキャラが好きだとつぶやいたら、ファンの方からそのキャラのグッズをいただくようになりました。中にはドコソコの店に行かなきゃ買えないようなレアなものもたくさんあり、とても嬉しいのですが、巨大な縫いぐるみは持って帰るのも大変だし、自宅でも置き場を作るのに難儀しました」(Bさん)


↑上方歌舞伎の拠点、松竹座

ついでに、「もらって嬉しいもの」も聞いてみました。

「最近はシュークリームやどら焼きなど、小さいのが売ってるんですね。
ああいうのは楽屋にあるとみんな軽くつまめるので喜ばれると思います」
(Bさん)

なお、同じ一口で食べられるものでも、きなこ餅みたいに衣装が汚れそうなお菓子はあまり嬉しくないようです。


↑おなじみ、くいだおれ太郎さん!

 

ちなみに、一番うれしいお土産は、

「そりゃもう、軽くて薄くてペラペラで、ポケットにスッと入るようなもんですわ」(Aさん)

だそうです。はっきりとはおっしゃらず、「空気を読め」という表情をなさっていましたが、たぶん図書カードのことだと思います。

 

以上、ご参考にされたし!

中井 仲蔵

編集者/コラムニスト

中井仲蔵

中井仲蔵 (なかいなかぞう) 昭和43年生まれ。普段は都内の中堅出版社で働くが、たまにコラムニストとして映画や演劇について語ることも。独身。長男。花粉症。

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