別れの朝に、彼女は優しく微笑んだ
官能の女神たち「モノクロームな肌」 Issue.1―囚われの鳥―Ian Hanasaki_Vol.4ー
生々しい色彩のない世界でも、人は"官能"を感じることが出来るのか。
写真家・i-dee氏の新連載『モノクロームな肌』がスタート致します。
美しい肌を写真に表出することに定評があり、ファッション・モードの世界で
多くの撮影を重ねてきたi-dee氏が魅せる、黄昏ゆく世界に降り立った女神たちの物語。
Issue.1のテーマは、「囚われの鳥」。(4回に分けてお届けします)
柔らかい彼女の唇に
幾たびも引き寄せられながら
冷えきった僕の軀は
徐々に体温を取り戻す
捕らえられ、苦悶する小さな鳥
僕は優しく陵辱する
その表情をみるたびに
心がほんの少し揺らいでいく
吸い付くように僕を求める肌
僕の魂は彼女の温もりに溶け
小さな死を繰り返し抱きながら
ひとつになっていく
眠る僕の顔に滴る冷たい水
ゆっくりと目を開ける僕
水浴びから帰った小鳥が
僕を静かに覗き込んでいた
朝の光の中で彼女は優しく微笑んだ。
−あなたはもう、自由−
僕は、彼女の温もりを軀に纏ったまま
静かにその部屋の扉を閉じた
Photography_i-dee
Composition&Text_Mariko Uchiya
Model_Ian Hanasaki
Special Thanks_ Prime Agency