鍵穴の向こうの静かな死
官能の女神たち「モノクロームな肌」 Issue.1―囚われの鳥―Ian Hanasaki_Vol.2ー
生々しい色彩のない世界でも、人は"官能"を感じることが出来るのか。
写真家・i-dee氏の新連載『モノクロームな肌』がスタート致します。
美しい肌を写真に表出することに定評があり、ファッション・モードの世界で
多くの撮影を重ねてきたi-dee氏が魅せる、黄昏ゆく世界に降り立った女神たちの物語。
Issue.1のテーマは、「囚われの鳥」。(4回に分けてお届けします)
地下へと降りてゆく階段
すべての音が消えてゆく
彼女はゆっくりと僕を振り返る
誘うように濡れた瞳で
螺旋階段はまるで
遊び慣れた彼女の遊具のよう
僕は堕ちてゆくだろう
彼女とどこまでも
静かに水の流れる音
たどり着いた小さなバスルーム
彼女の瞳が告げている
−ここから先には来ないで−
扉の前にひとり佇む
鍵穴の向こうには蠢く小さな鳥
静かな躍動を僕はずっと
ひとり眺めていた
どれほどの刻がたったのか
鍵穴の向こうには
力なく横たわる小鳥の骸
虚ろな僕の瞳に映し出される小さな死
Photography_i-dee
Composition&Text_Mariko Uchiya
Model_Ian Hanasaki
Special Thanks_ Prime Agency