密室の女は、まるで静かな鳥のようだった
官能の女神たち「モノクロームな肌」 Issue.1―囚われの鳥―Ian Hanasaki_Vol.1ー
生々しい色彩のない世界でも、人は"官能"を感じることが出来るのか。
写真家・i-dee氏の新連載『モノクロームな肌』がスタート致します。
美しい肌を写真に表出することに定評があり、ファッション・モードの世界で
多くの撮影を重ねてきたi-dee氏が魅せる、黄昏ゆく世界に降り立った女神たちの物語。
Issue.1のテーマは、「囚われの鳥」。(4回に分けてお届けします)
或る夜のこと
孤独を持て余した僕は、今夜もこの街を彷徨う
いくつもの扉を開け、小さな部屋にたどり着いた僕は
静かに佇む小さな鳥を見つけた。
僕は少しずつ彼女に近寄る。
怯えることもなくじっとこちらを伺う眼差し
彼女の瞳に手繰り寄せられるように
僕はゆっくりと彼女の後ろをついていく
一番奥の小さな部屋
僕は彼女にそっと近づく
ひんやりと甘く香る柔らかい肌
心地よい目眩を誘う媚薬のようなため息
黄昏ゆく陽の光
ゆらゆらと輝く瞳に吸い寄せられ
しっとりと水を含んだ柔らかな肌が
僕を彼女の奥底にゆっくりと引き寄せた
優しく繰り返す静かな波
ゆっくりと立ち上がった彼女は
羽を翻すように部屋を出る
僕はもう彼女に抗えない
Photography_i-dee
Composition&Text_Mariko Uchiya
Model_Ian Hanasaki
Special Thanks_ Prime Agency