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"物語"だけが感動体験を生む

ー「フラガール」の奇跡はどうやって生まれたのかー

3.11ですね。
もう震災から7年が経ちます。
日本中が完全な復興を遂げたとは言い難い状況が続いてはいますが、『スパリゾートハワイアンズ」を擁する、
福島いわき市の企業「常磐興産」の物語には、日本中が勇気を与えるのではないでしょうか。

今日は、3月16日発売の新書『「東北のハワイ」はなぜV字回復したのか』について、
ブックレビューさせていただきました。

 

淑女のみなさま、こんばんは。

 

震災7年目の今日。どんな思いで1日を過ごされたでしょうか。

被災した全ての地域で完全な復興が完了した、とはまだいえない中、出来事を風化させないように、ニュースでも、2011年に起きた東日本大震災のことを取り上げたりしています。

 

そんな時節柄、普段一緒にお仕事をさせていただいている大先輩、清水一利さんから1冊の本が届きました。

タイトルは『「東北のハワイ」はなぜV字回復したのか』(清水一利/著・集英社刊)

 

見た目は陸軍大尉な清水さん、最近ではホームレス活動に勤しみ、シニア向けサイトに掲載する記事のための取材で東京中を駆け巡り、果てはマンション管理人という裏稼業までこなすという八面六臂の活躍ぶりに、内心度肝を抜かれていたのですが、さらなるうえにこんな立派な新書を執筆されていたなんて……(°▽°)。

 

 

さて、昭和の香り漂う裏町で今日も一夜の宿を探し歩いているであろう親愛なる大尉の話はさておき、、、
震災にお話を戻し、早速ブックレビューさせていただきたいと思います。

 

3.11。

私自身は東京にいたので直接的な被害は多くなかったものの、親友の安否への不安、ニュースでみる大地震とそれに伴う余震、津波や原発の事故などを目にするにつけ、子どもたちはどうなってしまうんだろう、日本はどうなってしまうのだろう……と当時はかなりの衝撃を覚えたものです。

そんな衝撃と不安も冷めやらぬなかで、『フラガールの全国キャラバンをやります!』と宣言したのが、あのスパリゾートハワイアンズ。

 

常に28度のハワイ感たっぷりな気温で温水プールが楽しめて、とても素敵な笑顔のフラガールのお姉さんたちがショーを見せてくれる、あの福島のハワイです。

家族旅行で一度は行ったことがある、という人も多いのではないでしょうか。

 

震災で甚大な被害を被った福島県いわき市にあるハワイアンズは、震災直後から休業を余儀なくされるのですが、この宣言を出したのは、まさかのその休業中。

完全に意気消沈してネガティブになっていても仕方のない状況のなかで、社員一同前向きに進んでいる状況を垣間見せてくれたこのニュースに、日本中が元気づけられたものでした。

 

映画『フラガール』を観た方はご存知かもしれませんが、スパリゾートハワイアンズ(旧常磐ハワイアンセンター)の運営元は、常磐興産といって、もとは炭鉱の会社です。

昭和20年代には「黒いダイヤ」ともてはやされた石炭も、石油エネルギーの隆盛とともに一気に衰退してしまうのですが、当時の幹部であった中村豊氏の並々ならぬ情熱と指揮のもと、ハワイ感と温水プールが売りの温泉施設として常磐ハワイアンセンターが創業されたのだそうです。

今ではアイドル顔負けの人気を誇るダンサーさんたちですが、フラガール第1期生は全員地元の女の子。ダンスも踊ったことのないような炭鉱の町出身の少女たちだったそうです。

恥ずかしい「ヘソ出し踊り」、なんて揶揄われても、一生懸命練習を重ね、今のような素晴らしいショーで魅了するまでに。

そのあたりのお話は、こちら、“フラガールの育ての母”ともいえるカレイナニ早川さんの自叙伝にも詳しく書いてあります。

 


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炭鉱の会社が一大観光事業に乗り出す。それだけでも並みの覚悟ではできないことです。

ですがその後も、完全な閉山、バブル崩壊など、様々な逆境をそのたびに跳ね返し、リストラもせず、今回の震災でも7年で見事なV字回復を遂げた常磐興産。

 

この本を読むと、炭鉱の町として栄えてきたいわき市で、地産地消の意識、地域の温泉観光施設との協力体制など、“一山一家”の発想で家族ぐるみで関わり合いながら栄えてきた企業風土がその成功をもたらしたに他ならないことがよくわかります。

 

この街を守る。家族を守る。ここに生きる人たちの笑顔を守る。

そうした“物語”が持つ力こそが人の情熱を掻き立て、ビジネス・経済まで含む大きな物事を動かし、連鎖していく。

 

現代的に形を変え、設備も刷新され、常に進化し続ける『スパリゾートハワイアン』ではありますが、その根幹には、経営者が代替わりしても、変わらない福島・いわきに流れるあたたかい“物語”があるのだと思いました。

 

その底に脈々と流れる“物語”を知れば知るほど、スパリゾートハワイアンズにいってみたくなるかもしれません。

ぜひ、ご一読くださいませ。

 

 

 


 

【今回ご紹介した本はこちら】

 

「東北のハワイ」はなぜV字回復したのかースパリゾートハワイアンズの奇跡ー

清水一利/著 集英社新書

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打矢 麻理子

SEIReN編集長

打矢麻理子

様々なジャンルの女性ファッション誌や、ビジュアルブック、書籍制作などの経験を活かし、編集者として活動中。2017年に出版社の編集事業局取締役社長を経て独立。クリエイターチーム「Lilith Edit」、メディアプロジェクト「SEIReN」を主宰。

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