日本の女性を縛る、結婚や恋愛という「呪い」
フランスには「不倫」や「適齢期」という言葉がない。
30歳を過ぎてもなお独身、それまでは仕事に趣味に、自由に生きてきたけど、気がつけば周囲で独身は自分ひとりだけ。
焦って婚活サービスに登録、街コンに参加したり、知人の紹介や合コンに積極的に参加するも、上手くいかずに焦りはつのるばかり。
最近では「婚活鬱」などという言葉も聞かれます。
そして、割とよく聴くのが「婚活に疲れ、婚活を辞めた途端に彼氏が出来、結婚することになった」という話。
一体どうしてそんなことになるのでしょう？
10月12日に発売となった書籍「フランス女性に学ぶ 結婚という呪いから逃げられる生き方」（ワニブックス刊）では、著者の岩本麻奈さんが「本当に結婚したいのはあなたですか？」と問いかけています。
適齢期という「呪い」
結婚適齢期、結婚生活や家族、女としての役割、誰かに「選ばれ」なくてはならないという考え方……それらは全て、現代の女性に刷り込まれた「呪い」である、と岩本さんは断じます。
そしてその呪いは、「世間体」や「社会」という、あやふやで実体のないものが原因となっています。
岩本さん自身も、「呪い溢れる日本で」生まれ育ち、こうした価値観を刷り込まれていましたが、その後フランスに移り住み、フランスの女性の考え方を知ることで、こうした呪いを解くキーワードに気がついたのだと言います。
フランスには「不倫」という言葉はない
“（フランスでは）例えば夫と3週間も別々に暮らしていて、その間に浮気されたとしても、それは仕方のないこと、と世間では思われてしまいます。”
“日本においては、浮気された側は、証拠集めや慰謝料請求など、浮気されたあとも心乱されることが続きます。しかしフランスはどうかと言うと、浮気された側は多くの場合、なにもしません。”
“浮気されて傷つかないわけでは決してありません。それでも、愛が無くなっても一緒に暮らすほどナンセンスなことはない、と考えます。”
岩本さんは本書の中で、フランス人の考え方をこのように紹介しています。もちろん、「これがすべていいというわけではありません」ということですが、それでも日本の「呪い」に慣れてきた身からすると衝撃を受けた、と語ります。
そしてなによりも、「自分が納得いくように生きること」こそが「呪い」から逃れる術である、と結論づけています。
フランスには「不倫」という言葉も、「結婚適齢期」という言葉も存在しません。
それはこうした、自分自身の美学をなによりも大事にする「ミーファースト」の文化があるからなのだと言います。
対して、日本は個よりも協調性を大事にする風潮があります。結婚適齢期も、「不倫」という言葉も、実際にはこうした文化に依存したものであり、世界的に普遍のものではないのです。
無個性を求める婚活市場
婚活市場で最も有利な女性というのは、「個性のない女性」なのだそうです。
自分の色を出すよりも、相手の男性に嫌われない女性になることが最も効率的に婚活できる、そのためには個性の強いファッションやメイクを避け、「女性らしい」清楚なワンピースや控えめなヘアメイクをし、会話も自分の意見は控えめにして聴き上手に徹するのがいいのだそうです。
一方で、日本には根強い「恋愛結婚至上」の考え方もあります。
相手と強く求めあう恋に落ち、その結果として結婚をするべきである、という意識がやはり強いのでしょう。
相手と恋愛をするということは、相手の個性を認め合い、求めあうということ。
こうした相反する考え方にダブルバインドになっていては、婚活鬱になるのも仕方のないことかもしれません。
そして、そこから逃れ、自分の個性に素直に生きるようになった途端、その魅力を認めあえるパートナーに恵まれる……そういったことも、なにも不思議なことではないのかもしれません。
“恋愛というのは常に1対1、人の数だけ違う「オーダーメイド」であるべきだと私は思います。”
“大勢から言い寄られなくてもいいのです。最終的に結婚して夫婦になるのはたった一人なんですから。”
そもそも結婚できないと悩む女性が、婚活以前にメディアで語られる「モテ」という呪いに捉われていることも多い、と岩本さんは語ります。
自分が満足できるのであれば、別に結婚でなくてもいい、何歳になったって恋愛してもいい、相手が「ダメんず」だったとしても、それもまた大切な自分自身の人生……
「結婚という呪いから逃げられる生き方」では、このほかにも様々な「呪い」を取り上げています。
現代を生きる女性、または男性でも、読めばなにかの「呪い」が解かれる音が聞こえてくる……そんな一冊です。
フランス女性に学ぶ 結婚という呪いから逃げられる生き方
著：岩本麻奈
編：Lilith Edit（リリスエディット）
発売元：ワニブックス
