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腐ちゆく王を抱く―狂愛の妃の愛の彷徨

幻想のロマンスへと導く神経回路の罠 ―第五夜

仮面女子のカルチャー担当、桜雪です。この連載でお送りするのは、私の心の奥にある一番センシュアルな部分にひそめていた秘密の物語たち。ほんの少しだけ、古い時代の出来事にのせてお届けします。

古い時代の物語……

 

“英雄”と名高きスウェーデン王

其の名は、グスタフ・アドルフ

 

三十年戦争、カルマル戦争、

数々の戦場を駆け抜けた王は

其の雄々しく輝かしい功績とは裏腹に、

胡乱なる最期を迎えたと云う

 

 

 

最期とは云っても

《王の抜け殻》

 

―即ち、屍の行く末にまつわる史実

 

其の王には

ヨーロッパ随一の美しさを誇る王妃が居た

 

其の名は、マリア・エレオノーラ・フォン・ブランデンブルク

 

“狂愛の王妃”

 

 

王妃は王を愛する余り、

王が戦死した後も、

其の屍の埋葬を許さなかったと云う

 

 

屍の王は次第に腐乱して往く

しかし王妃は決して《王ダッタモノ》を手放す事無く―

 

昼は《其れ》を愛し

夜は《其れ》と共に眠ったという

 

 

さて、《愛》が人を狂わせるのは何故でしょう―

 

脳と身体の相互作用から生まれる
《現象》としての感情、思考、意識、心―

《愛》も其の内のひとつ

 

 

《愛》は抽象的な概念の様で

計測可能な《物質原理》として姿を現す

それは、確かな《現象》

 

 

 

例えば貴女の恋人の脳内の”血流動態反応”を

脳機能イメェジングで測定して仕舞えば

 

真実の《愛》を確かめる事が出来るのです

 

 

 

精緻な神経回路の中で紡がれし濤々―

 

其れが、科学的に証明し得る《愛》

 

《愛》は

ドォパミン神経細胞群の活性化を齎らす

謂わば、興奮剤―

 

 

報酬を求める欲動と

大脳基底核に因る行動選択、価値決定の歪みとが

依存の底無し沼に導いて往く―

 

 

更に満たされねば満たされぬ程

 

其の《執着》は膨れ上がって往く―

 

 

 

其の《メカニズム》には抗えぬのです

 

ロマンスは幻想ではなく、

確かに脳の中に存在する《物質原理》なのですから

 

貴女の足元にも

《狂愛への落とし穴》が

 

ぽっかりと、

口を開けて居ることでしょう

 

 

否、既に手遅れなのでしょうか……

 

 

今夜もゆっくりおやすみくださいませ
またお逢いできますことを……

桜雪

最強の地下アイドル:仮面女子

桜雪

2010年に東大受験生アイドルとしてデビュー。東京大学入学後は心理学を専攻。仮面女子としての活動の他、バラエティ番組や報道番組に出演。

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