――青くて甘い、さいごの夏――
まぼろし映画座へようこそ ーいつか見たあやふやな記憶の物語ー Scene.2「BLUE」
いらっしゃいませ。
まぼろし映画座へようこそ。
ここは、この世界には存在しない架空の映画座。
そこに映し出されるフィルムは、
あやふやでおぼつかない、あなただけの物語。
目の前にあるのは、
ひっそりと貼られたポスターと登場人物、
そして、たった一行のあらすじだけ。
お席までご案内しましょう。
さあ、扉をひらいて……
〈まぼろし映画座〉支配人・佐藤まゆ
いかがでしたでしょうか。
学生時代、ひそかに人気のある先生のお近づきになれるしたたかな女の子は
クラスに必ず一人はいて、決まって少し、浮いているような子だった気がします。
私のクラスにいた子は毎週水曜日、10分休みになると必ず教室を出て行って
授業開始のギリギリに戻ってくる。授業中は嬉しそうな日や機嫌が悪そうだったり
少し泣いている日もあります。彼女が10分休みに何をしていたのか。誰と、どこで?
教室、昼休み、水飲み場の陰、放課後、補修、先生…
学校には色んなドラマが詰まっています。
ご観劇、ありがとうございました。
心がキュッとするような気持ちのとき、
退屈な時間をやり過ごしているとき……
いつでもまぼろし映画座にお越しください。
待っています。