What’s SEIReN project

めくるめく立体が織りなす、ガーリー帝国の果てしない魅力

「Art director大沢寿恵の「真夜中の独り言♡」vol.1

-気分が上がるデザイン、ヴィクトリアズ・シークレット in Hawaii -

SEIReNで連載をする事になりました、大沢寿恵と申します。

まず少しだけ自己紹介をさせてください。私はいわゆるグラフィックデザインのお仕事をしています。昔の話ですが、大学では映像を学び、コマ撮りクレイアニメを制作していました(学生レベルですが)。ティム・バートンの『The Nightmare Before Christmas』に強い憧れを持っていたんですよね。はじめて観た時は本当に衝撃的でした。

そんな私ですが、長年紙媒体のお仕事に関わらせていただいて感じること。ビジュアルを作る事って本当に楽しい!……事ばかりではなく、どういうビジュアルにするか考えている時やそれをカタチにするための方法へ導くことが一番悩みどころだったりします。
そして客観的に眺める段階になった時に、やっと無事、完了〜みたいな感覚に着地し、ホっとします。
デザイン物って、誰かから求められてこその世界なんだと、常々思います。やはり〝何〟を求められているのかという事は忘れずにいなきゃなと思いますし、そこにどれだけの〝っぽさ〟を出せるかが大切なんだと思いますよね。そんなわけで、私も日々〝っぽさ〟と葛藤しながらお仕事をしています。
偉そうなことなんて1ミリもお話できないのですが、おヒマな時間のお供になれたら嬉しいです。前置きはこの辺でいいですね。
本題に入ります。

この連載のお話をいただいたのは、3月の初めぐらいだったかと思います。
SEIReNを立ちあげるというお話とともに、大沢さんも連載をしてみない? と編集者U女史から素敵なオファーをいただきました。私としてはU女史の活力ある雰囲気と常にエンジン満タン!な印象にパワーをもらえそうで、「ぜひ!」とお返事させていただき、連載内容について少しお話しました。で、後日送付されてきたのが、今回の連載のタイトル!

では独り言♡、お付き合いくださいね。

今回は下着ブランドの「ヴィクトリアズ・シークレット」について独り言♡です。
略して〝ヴィクシー〟言わずと知れたアメリカの下着ブランドです。歴代のショーに出演したモデルさんたちは『エンジェル』と呼ばれています。日本でもCMなどでもお馴染みのモデル、ミランダ・カーは元エンジェルとしても有名ですよね。また、学園コメディの傑作、映画『ミーン・ガールズ』でもヴィクシーを彷彿とさせる一場面が出てきて……。ナイスBODY&あこがれの腹筋をもつ女子たちがランウェイをあるく姿は、もう刺激的以外の何ものでもありませんよね。

日本には直営のショップはありませんが、ブランドのイメージやショーの雰囲気など、以前からとても気になっていました。全てに於いて迎合しない!という強気に見える独自のブランディングは、筋が通って潔いし、深く印象に残ります。そのひと筋通ったモノを見たくって、見たくって……。
少し前ですが、弾丸ハワイへ行ってきました。

ワイキキに到着するや否や、多くの人でごったがえすアラモアナに目もくれずに
〝ヴィクシー〟shopへ直行です。
Shopに入った瞬間から、素敵すぎる内装(Pink & Black)やトルソー、面積少なめな下着たちにパンチを食らいますが、せっかく憧れの場所なので、そこは気後れせずに堂々と。(多少はドキドキしますけどね)Second Floorから拝見!と思い、真っ黒くテカテカと輝く、豪華な洋館の様な手すりに手をかけ上がる途中には、いくつものモニターがあり、ショーの様子を流れていました。丁度、レディ・ガガがゲスト出演したと思われるショーの様子が流れているのに遭遇。ついつい見入ってしまいました。(が、英語音痴なのでネイティブの聞き取りなどは全くできずなのですが)

Second Floorへたどり着くまでに10分ぐらいは経過していたでしょうか。ちなみに階段下には椅子が置いてあり、ファミリーでいらしたお父さんが行く場所がなくって肩身狭そうに、買い物の荷物とともに座っていたりもします。レディ・ガガがやりたい放題に振る舞う素敵な映像の下でお父さんが小さく座ってる……。

シュールです。

確かに、shop内は女帝ワールド全開! 店員さんでさえ、鋼の腹筋なんて持ってなくっても面積少なめの装いですからね。男性には理解不能かもしれません。

かくして無事Second Floorへたどり着いたわけですが、そこはもうカッコイイBODYの女性に憧れるフラワーガーデン! 思わず二度見してしまうような色・カタチ・素材の下着がそこかしこに。
ただ、私のお目当てはランジェリーではなく、ランウエア。つまりレギンスです。ドレスコード的にレギンスでの搭乗を断った航空会社がある、なんて最近話題にもなっていますが「スパンデックス」という伸縮性のあるレギンスを探そうと思っていました。
仕事柄、追い込みの時期になると必然的に動く量が減ってしまうのですが、それを解消する為に、運動しなきゃ!とずっと思っていた今日この頃。
〝ヴィクシー〟のランウエアに心動かされて、これを着ればなんとか動こうという気になるんじゃないか……、なんて安易な考えを抱いていたのです。
何か始めるなら、やっぱり気持ち&カタチからだもん! なんて言い訳を胸に色々と物色。物欲にまみれながらも、ふと思ったのは、〝ヴィクシー〟shopの内装のデザインって、引き寄せられるなあということ。
見えない部分にもこだわりが詰まっているんだろうな、と思いますし、ロゴやショップバッグのデザインにも〝持ちたい〟と思わせる気持ちにさせてくれます。実際、世代的には日本でいうところの小学6年生ぐらいの子でもロゴポーチを持ってたりして。(さすがに色っぽいランジェリーは早い。私は平面のデザインに落とし込むのが仕事なので、内装やランジェリーなど、平面とはまた違う立体的なアプローチのデザインに興味が湧きます。平面でこんな風にできたらと考えながら、何かの時に活かしたいなと思ってみることも多々あります。刺激になりますよね。

そして、〝ヴィクシー〟shopの押し付けすぎず、けれど高揚感を持たせる独特の雰囲気作りにノックアウト。その後、試着を繰り返し吟味しつつも色々購入しちゃいました♡
白亜ならぬピンクのお城の広すぎる試着室は、ひと時の逃避の空間でもありますね。お目当てのレギンスのサイズが、少し小さめのものしかなかったのですが、そのサイズに自分を合わせれば!と思って購入しました。試着中になやんでしまい、店員さんに「小さいかな?」ってQuestionを投げかけたら「OK!OK! Stretch!」とニッコリ。何だかもうそれを信じるしかなくて……。(下記写真は私が購入したレギンスの広告写真です)

こうして日本に戻り、そのレギンスは私のランニングウエアとして活躍しています。試着した時には「レギンスの裾(膝より下部分)をわざわざアミアミにする?」って思った購入品ですが、重宝しています。気持ちが上がる・気持ちを上げるデザインって、平面でも立体でもとっても大切なことだと思っています。そして、そういうものに出会える場所に出向く、ということも大切ですよね。忙しくしているときは、そんな事を考える時間も取りづらいかもしれないけれど、素敵なデザインに出会える場所へ行く予定を立てるだけでも♫ 楽しんでみてくださいね。

大沢寿恵

アートディレクター/デザイナー

大沢寿恵

武蔵野美術大学造形学部卒業。現在、フリーランスのデザイナーとして舞台のビジュアルデザインや宣伝美術、CDジャケット・書籍・写真集などのアートディレクションに携わる。メディアでの連載企画などでも活躍中。

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