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恋より怖い物語—恐れが織りなす悦楽の行方

腦に於ける制御装置の話 ―第六夜

仮面女子のカルチャー担当、桜雪です。この連載でお送りするのは、私の心の奥にある一番センシュアルな部分にひそめていた秘密の物語たち。ほんの少しだけ、古い時代の出来事にのせてお届けします。

古い時代の物語……

 

何の時代に遡っても、
恐怖を美に昇華させた芸術が存在する

伝記、神話、聖書―

其処に在る恐ろしい記述

 

虐殺、処刑、悪魔、地獄―

 

其れらを

美しく、グロテスクに

禍々しく、エロティックに

 

ルーベンスも

ゴヤも

ダリも

 

凡ゆる芸術家は

其の恐ろしさの中に在る美を表現した

 

何故、恐怖とは美しい存在とされるのか

 

怖い

 

怖い怖い怖い

怖い怖い怖い怖い怖い

 

ふと気が付くと、

《其の事》ばかりを考えて仕舞って

思考が《其の事》で一杯になる

 

 

恐怖の他に、

《心的外傷》の様に纏わり憑く想いを知って居るとすれば、

 

好き

好き好き好き

好き好き好き好き好き

 

 

其れは

―《恋》―

でしょうか―

 

恐怖に美を感じるのは

《恋》の様に心を惹き付けられる所為なのかも知れません

 

然し、何れ程、

強く想えども―

深く囚われども―

 

脳内には過剰な恐怖を抑制する回路装置が存在し、

或る一定量以上の恐怖は感じられないと云う―

 

過剰な恐怖―若しくは嫌悪―の惹起する《抑圧的感覚》

それを制御する為の

《安心設計》なのでしょうか

 

複雑に織り成された筈の生命は

実の所は脆弱なプレタポルテで、

《抑圧的感覚》に拠って容易く綻んで仕舞う―

其の所為で、《安全設計》で創られて居る―

 

其れならば、
《恋》にも抑制装置が在れば良いのに―

 

 

若しも、回路装置が壊れて

何処迄も深く深く恐怖に堕ちて仕舞えるとすれば

 

無限に膨れ上がる嫌悪感 恐怖感―

感覚の中に満ち満ちた生臭いエントロピィ

 

其処に堕ちた時―

人間は何に包まれるのでしょう―

如何なって仕舞うのでしょう―

 

 

逃れられない不安が全身を覆い、

心臓の脈々も際限なく加速し、

何処迄も深く深く沈殿して往く―

 

 

其処には、或る種の心地良さが或るのでしょうか―

其れとも、忘れられない恋の様に膨れ上がる想いに斬り裂かれて仕舞うのでしょうか―

 

 

今夜もゆっくりおやすみくださいませ
またお逢いできますことを……

 

桜雪

最強の地下アイドル:仮面女子

桜雪

2010年に東大受験生アイドルとしてデビュー。東京大学入学後は心理学を専攻。仮面女子としての活動の他、バラエティ番組や報道番組に出演。

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